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「エル・トポ」を元町映画館で観た

映画

エル・トポ (アレハンドロ・ホドロフスキー 1970年)

元町映画館4連続シリーズもこれで最後。20時から観た最後の映画が一番良かったと思う。

ホドロフスキー監督で一番有名な映画らしい。1970年だからサンタ・サングレよりもずいぶん前の映画だけれど、デジタルリマスター版だからなのか、画質が異様に良かった。

ストーリーを紹介すると、主人公はガンマンで神。全裸の少年を連れて砂漠を旅していたが拾った女に一番強い男じゃないとイヤだと言われて、4人のガンマンと決闘をする。悟りを得て弾丸が効かなくなった盲人などの強敵たちと少年ジャンプ的なバトルを経て、主人公は死ぬ。その後仏として転生、奇形の集落を地下から救い出すために頑張る、といった話。

ストーリーを語ることに意味はなさそう。wikipediaを見たら詳しく書いていた。

前半のガンマンの決闘シーンは、4人の敵がいることが最初から明らかにされていたから、徐々に逸脱した敵が出てくるのだろうなと思っていたら、最初から盲人が出てきて、飛ばしていた。盲人の召使いは腕の無い男が足の無い男をおんぶしているという二人羽織だった。ホドロフスキーは腕が体から分離するのが好きなのだろうか。ガンダムのコアブロックシステムみたいだな、と思った。

全体に超越的な雰囲気が漂っていて、どの場面も良かったと思う。砂漠のシーンも、砂まみれになって砂に埋まるというのが映画的で良かった。誰もいない砂漠で交わるというのがオアシスのイメージだった。一瞬で描かれてすごいざっくりした演出だったので必見。

羊や兎が大量死する場面も、神話的な雰囲気が漂っていた。ひとが死んでも神話的ではないのに、動物が死ぬと特別なシーンになるのが不思議。

奇形の集落を救い出すというテーマはどこか宗教の要素があると思ったのだけれど、宗教が奇形を助けるのは、信者獲得のためなのだろうか。もっと深い意味があるのかもしれない。弱き者に救いの手を、というのは共感を呼ぶけれど、対象がフリークスとなると、また違った感情が出てくると思う。

街が徹底的に酷い人間の集まりとして描かれているのも印象的であった。太った醜い女たちが若くて逞しい黒人に焼き印をおして奴隷として使い、胡散臭い宗教が大流行していた。あまりに酷いのだけれど、共感を呼ぶ要素がたくさんあったと思う。エル・トポは正義の行いをするが、結局はそのために滅びてしまう。エル・トポは聖痕を打ち込まれたあとにロンギヌスの槍で殺され、復活した後には焼身自殺をするので、キリスト教的な死と、仏教的な死が両方出てくる。

寺山修司の映画はあまりに異常な印象があったので、誰の影響も受けていないのかなと思っていたけれど、ホドロフスキーの映画と多くの共通点があった。「書を捨てよ町へ出よう」が71年とエル・トポの翌年なので、影響を受けたのかもしれない。ラース・フォン・トリアーの「アンチクライスト」も章立てしているところなんか影響を受けていると思う。

まさにカルト映画の金字塔という映画だった。予告編が怖いのだけれど、本編もけっこう怖いしたくさん死ぬから、頑張って見ると良いと思う。もうこんな映画は撮れないかもしれない。


『エル・トポ 製作40周年 デジタル・リマスター版』予告編 - YouTube