不必要な靴

引き続き落ち込んでいる。
僕があまりに落ち込んでいるのを心配した家族が外に出てこいと言ってくれて、竜王の三井アウトレットモールまで一人で自動車を走らせることになった。あまりものを買うことはないが、高速を使わなくても片道30分程度で行けて、滋賀県ではほかで売っていない品物を見られるので、何度か行ったことがあるところだ。
服は質の割に高いと感じるものが多かったので、主に鞄と靴を見ていた。鞄はマスターピースというブランドが好きなので、アウトレットにちょうど店舗があって、ありがたい。鹿の柄が入った生地の鞄が良かった。気軽には買えない値段なのと、もうすでに気に入った鞄を持っているので、今回は見送った。品物を見ていると、僕の背負っているものがマスターピースの鞄であることに気がついた店員さんが「きれいに使ってもらってますね」と声をかけてきた。確かに、貰った鞄なので大切に使っているということを話した。
靴屋さんはリーガルをいつも見てみるが、就活用の靴にはまだ気が早いので、Dannerに行った。以前にABCマートで見て欲しいと思っていたメダリオンの靴が半額以下で売っていた。Dannerなのにメダリオンは変わってるけれど、きれいな色のものがあったのだ。これはと思って試しに履かせてもらうと、なかなか良い感じだった。ABCマートでは手が届かなかったけれど、なんとか買える値段だ。
しかし、試し履きさせてもらった靴を脱いで、もとに履いてきた靴に履き替えるときに、違和感があった。家から履いてきたドクターマーチンのほうが圧倒的に良かったのだ。赤いマーチンは僕の大切なひとに貰った靴で、本当に気に入っている。毎回同じ靴を履いていると言われるほどだ。そこでピンときて、今あるものを大事にしようと思い、結局新しい靴は買わなかった。
何でもそうだが、身につけるものは特に、本当に気に入っているものが良いと思う。気に入っていないものはいくらたくさんもってても仕方がないし、捨てるときにもったいなくてひどい気持ちになる。僕はものを捨てるのが苦手だ。本当に良いと思ったものを長く使っていきたいと思う。