東京お手伝い旅行 (3日目、夜)

 昼食にステーキを食べると雨もほとんど止んで、本格的にレコード屋さんを見た。discland JAROというジャズ専門店がおそらく渋谷で最も有名なレコード屋さんで、僕が今まで行った中で最も小さなレコード屋さんだった。小さなドアを押した先にある狭い階段を降りて、感覚的には3畳くらいしかない。真ん中に店主のおじいさんが座っていて、他は全てレコードだ。通路幅が狭すぎて身動きがとれず、手に取るレコードが3万円程度か1000円程度かと極端だったので、何も買わずにすぐに出てしまった。お金をもっているひとはああいうところでオリジナル盤を買うのであろうか。とにかく消防法を守っていなさそうなお店だった。

 主にジャズとブルースとロックのレコードを探していたが、渋谷だからなのか、他のジャンルのレコード屋さんが多かった。レコード屋さんは大別してDJ系とそれ以外があると思っている。基本的にはそれぞれ関係のない世界だから、明確にわけてあってほしい。

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 disk unionにズート・シムズのカッコいい10インチが売っていたが、さすがに26800円は手が出せなかった。その下のレコードは188000円で、お店に置いて買うひとはいるのだろうかと思った。サニー・ボーイ・ウィリアムソンやジェリー・リー・ルイスの7インチもあって、大変欲しかったが、7インチでもけっこうしたので、諦めてジャズのジャケットの状態が悪くて値が下がっているものを探した。おっ、これは、という盤がいくつかあり、何枚か買った。レコード選びは訓練である。ジャケットのフチを触った瞬間に何年代のものかわかるようになる。もちろん音楽のためにレコード集めをするのだけれど、それだけではないコレクション性も魅力のひとつなのだ。

 レコード屋さんにいるのは壮年から老年の男のオジサンばかりで、僕が死ぬまでレコードという趣味が続いているかどうか心配になった。オジサン達が引退するころにはレコードなんてなくなっているのではないか。あと50年くらいなんとかもってほしいと思った。

 もう少し東京に滞在こともできたけれど、レコード屋さんは見尽くして、歩き疲れたので、お土産と晩ご飯のカツサンドとビールを買って新幹線に乗った。東京駅のお土産コーナーは洗練されていて、ひとところでまとめて買えるので、おみやげ袋を持ってウロウロする必要がなくて良い。

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 新幹線でカツサンドとビールというのは男の幸せだ。「まい泉」という有名なお店のカツサンドを食べてみた。特別美味しいというわけではなく、普通の肉がやわらかめのカツサンドだった。ソースが甘い。カツサンドだから確かにそれなりに美味しいけれど、それは当然のことだ。思えば今回の東京旅行ではほとんど肉しか食べなかった。ちなみに新幹線で飲むビールがうまいので、僕は新幹線ファンだ。今までロング缶1本で少し物足りなかったところ、350 mL缶2本にするとワクワクが増大して丁度よかったと思う。

 1人で東京というのも自分で立てた計画通りに動けて楽しかった。ただし、なかなか寂しいということがわかったので、今度はひとと一緒に何かを見てまわってみたい。ご飯もきっとそのほうが美味しいだろう。