モノラルJBLへの道 その4

 エッジを貼ったユニットをもとの箱におさめて完成したが、設置が問題だ。アンプの出力はスピーカーAとB、A+Bの3系統しかないが、今つないでいるステレオのトールボーイがA、サブウーファーがBなので全部埋まっている。セレクターを買うのは高いからどうしようかなと迷っていたら、名案を思いついた。

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 スピーカーケーブルに直接スイッチをつけた。平型の電源コード用なのでスピーカーケーブルを剥いて絶縁して繋げるのがけっこう大変だった。電源の交流に耐えられるのだからスピーカーの交流なんて余裕だろう。実際それほど音は変わらなかった。スピーカーB端子→サブウーファー→スイッチ→JBLと繋げると、このスイッチでJBLのON-OFFが独立して制御できる。このつなぎ方だとトールボーイ+JBL+サブウーファーでモノラル音声という面白い鳴らし方ができるのだ。見た目は悪いが市販のスピーカーセレクターとやってることは同じはず。

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 設置する台はずっと以前に作ったレコード棚である。板厚18mmのパイン材だから頑丈だけれど、そのままだと共振しそうだったので、石で質量を増やすことにした。Lancer L101に憧れて大理石っぽい見た目を目指す。庭石をホームセンターで買ってきて、洗って置いた。ホームセンターで買うと1枚700円で安い。1枚4kgくらいあって、叩いてもコツコツとしかならない。専門的に言えばオーディオボードである。

 経験上スピーカーの底面をちょっと浮かせると低音がこもらなくなるので、これもホームセンターで45mm角の赤松を切ってもらって、下に敷くことにした。なぜ赤松かというと、ちょうど良い大きさで一番安かったからだ。黒檀とかがカッコ良いけれど、赤松だとカット代を含めて500円もしなくて安い。今回は珍しく全体に80番のサンドペーパーをかけてささくれをとったので、手作りスピーカーインシュレータと言えなくもない。

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 完成したスピーカーを上にのっけて設置完了。サランネットもきれいなものがついてきたけれど、これは外した状態。エッジが変わったから変な音が出るかな、と心配していたが、そんなことは無く、どこからどう聴いてもJBLの音がして面白い。10インチウーファーが太鼓のように鳴って、ツィーターが過剰に高音を出している。2wayだからなのか、レコード屋さんで鳴っている4312と比べて少しスッキリしている気がする。

 JBLにはジャズが合うとよく言うけれど、確かに金属的な高音は金管楽器の荒っぽい演奏にマッチするし、大きいウーファーの癖のある低音はドラムやベースに合う。全然フラットな音ではなくて、独特のドンシャリJBLの音で、それにたまたますごく合うジャンルや音源があるという感じ。録音が古くて高音と低音があまり入っていない、のっぺりした音源だと丁度良くなるのかもしれない。しかしヴァンゲルダーのブルーノートにも合うから謎である。

 ロックにも合う音源と合わない音源があって、合わない音源だと全然ダメだけれど、合う音源はJBLしかないという感じの音が出る。ブルースは基本的に合うようだ。音の数が多すぎるとごちゃっとしてしまうのかもしれない。1つ1つの音をハッキリ出すほうが合う。クラシックも同じ理由で、交響曲なんかは酷い音になるけれども、ソロギターくらいだとなかなかハリのある音が出る。

 頑張って修理して面白いスピーカーが手に入った。丁度欲しかったJBLの要件を全て満たしていて、期待通りの音が出ている。今まで使っていたトールボーイはおとなしめでワイドレンジの音なので、住み分けができている。エージングがあるのかないのかわからないが、いろんなジャンルの音楽を鳴らしてみて楽しもうと思う。