感情の表現

 正式に診断してもらったことはないけれど、僕はアスペルガー症候群と言われる性向に近いものをもっていると思う。自閉症スペクトラムといって、ある特徴的な性格の傾向が存在することに、アスペルガー症候群という名前をつけてあるようだ。アスペルガー症候群という分類は、ここ数年でなくなったらしいので、正式な診断というものも、すでに無いのだろう。つまりそういう性格というだけだ。

 他にもいろいろ少しひとと違った傾向があるけれど、ひとつには、感情の表現がうまくできない。楽しいと思ったとき、多くのひとは楽しそうな様子を見せる。もちろん悲しいときも悲しそうな様子を見せる。僕はそういうのがうまくできない。自分ではとても楽しいと思っていても、まわりから見ると全然楽しそうに見えないようで、もっと楽しそうにしろよ、なんて言われてしまう。ふるまいに出ないから、何を考えているのかわからないと言われるし、よく誤解される。

 これはひとと少し違うぞと自覚してから10年ほど経つので、経験からうまくやる方法を学習しつつあると自分では思っている。ただ、まわりのひとには迷惑をかけ続けてしまっている。僕も一生懸命改善しようとしているからわかってほしいが、会話が通じないひとが不気味だという気持ちもよくわかる。

 自分の気持ちを表現するのが難しいのに、物事の悪い面にすぐ気がついて、口に出してしまうという癖がある。それは本当は「こうしたらより良くなりそう」という提案だったり、「こんな変なことがあったよ」という話題提供だったり、「うっかりミスしてた」という自虐ネタだったりする。ただ悪いことばかり口に出して、良いと思ったことは表現するのが苦手なので、外からは怒っていて愚痴ばかりのひとに見えるらしい。内面は怒っているわけではないし、愚痴のつもりではないのに。これはいけないことだと思う。愚痴ばかりのひとに近寄りたくないのは一般的なことだ。毎日楽しく生きているつもりだけれど、毎日楽しくないひとに見えるらしい。

 口が悪いことも相まって、身近なひとにとても嫌な思いをさせてしまっていることだろう。本当にごめんなさい。僕の内面は毎日楽しく生きているひとなのだ。素直に楽しさを表現できるように、改善していきたい。