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欲しいものが世の中に無いことについて

日記

 ここ数年、生活において必要なものを探すのに苦労することが増えた。原因はわかっていて、収入がほとんど無い暮らしをしているので、本当に欲しいもの以外を一切買わなくなったからだ。

 

 例えば、学校でコーヒーを入れるときに使うマドラーが欲しいと思った。使い捨てのマドラーといえば、白いプラスチックの小さいスプーンのような形で、持ち手に三つの丸がついてクローバーのようなデザインになっているものを思い浮かべる。そして、実際探してみると、「そのデザインしかない」。

 これは驚くべきことだと思う。クローバーのようなデザインの使い捨てマドラーは、それなりに古臭いイメージがある。いろいろなデザインの使い捨てマドラーがあってほしいと思ったのだ。インターネットや実店舗で探したが、クローバーの形そっくりの別バージョンがいくつかしかない。他には、アイスの棒のような木のマドラーがあった。これはスターバックスで使われているタイプだと思う。それでも大きく分類して2種類だ。

 Amazonで買うと送料のほうが高くついて、理不尽に思ったので、結局は近所のホームセンターでクローバーのようなデザインのものを買った。100本入りで237円だった。それなりに満足はしたけれど、どちらかというと木のマドラーが置いてあればよかったと思う。

 

 別の例で言うと、実験室で使う靴を探している。僕が欲しいものの要件は決まっている。

  1. 底が薬品で劣化しにくい、滑りにくい
  2. 甲に穴が空いていない(薬品がこぼれても染みない)
  3. スリッパ、サンダルタイプ(学校でずっと履くので楽なもの)
  4. 先芯入り(安全靴タイプ)

この要件を満たすものを探していろいろ見たが、全部を満たすものはとうとう見つからなかった。今まで履いていた合皮のサンダルは、アセトンとヘキサンで甲の部分が溶けて白くなっていて、底が劣化して割れた。実験室で多くのひとが履いているクロックスは、甲に穴が空いている。穴が開いていないクロックスは、ビストロという名前の飲食店用のモデルと、医療用のものしかなくて、5000円くらいする。意外だった。似たようなものにはコックシューズというものがあるが、これはなぜか安物しかなくて、すぐ壊れるらしい。ドクタースリッパという滑りにくいスリッパもあるようだったが、これは逆になぜか高級なものしかない。

 結局はスリッパタイプというところを諦めて、ミドリ安全の安全靴が第一候補に上がった。豆知識だが、安全靴というのは規格があり、スリッパタイプのものは安全靴と言わない。靴の実物を見たかったので、近所のワークマンとホームセンターに見に行った。どの店も、安物の安全靴メーカーのスニーカータイプのものが棚いっぱいに陳列されていた。スニーカータイプは薬品が染みるからいけない。革靴タイプも安いブランドのものしか置いておらず、明らかに安っぽいので買わなかった。トップシェアのブランドのものを置かないというのが意外だ。最終的にAmazonミドリ安全の安全靴を注文することになると思う。

 

 何を買おうとしてもこの調子で、これはたいへん面白いことだ。僕が明確に欲しいと思ったものが、世の中に無い。世の中にはいろんな商品があふれていると思っていたが、実際は全然そんなことはなく、売られていない商品だらけなのだ。奇妙な便利グッズや最先端の技術を駆使した商品を考えるまでもなく、普通に欲しいものを作れば、普通に売れるということだと思う。棚に大量に並んでいるように見えても、理想そのままのものはほとんど置いていない。自分の理想を超える商品があれば良いと思う。